パラオと日本

1-171 パラオと日本人生は出会いから創られる。もし心と心の琴線が触れ合えば、国をも変えることができるかもしれない。 その日は暑かった。 「たかが原住民の分際で生意気な口をきくな。思い上がるのもいい加減にしろ!!」する …

無敵の極処

1-167 無敵の極処優子は、先ほど夢想していた強烈な印象を思い返していた。すると密かに思い出すことがあった。幕末明治に生きた山岡鉄舟という武士のことだった。鉄舟の残している記述文書類は簡潔。しかしその深みは海のようでも …

生命の輝き

1-167 生命の輝き外の暗闇から目を室内に移すと明るい足元が見えた。 傍にはうむいが眠っている。 再び暗闇を見つめ直すと遠く小さな星々だけが見えた。 まるで宇宙船に乗っているような感じがする。窓から見える真空のはてしな …

本当の孤独

1-166 本当の孤独優子の弟の光男がいなくなった。光男はもう23才になっていた。優子とは年が離れていて、父や母にすれば大事に育てすぎたのかもしれない。その光男が、高校を卒業しても大学へ行こうともせず就職をしようともせず …

武士道の本質

1-165 武士道の本質向かいに座っているうむいは、母の優子が自分のことをなかなか見てくれないので不思議に思いながら朝食を食べている。 優子は昨晩の思いついたことを夢中になって考えていた。人はイメージしたことを動作で一致 …

生命の謎

1-164 生命の謎幕末、明治時代の任侠の世界にいた清水次郎長は、一死を許していた山岡鉄舟から尋ねられたことがある。「次郎長、お前さんにはたくさん子分がいるけれどもあんたのために命を預けてくれる子分は何人ぐらいいるかい? …

動機の意図

1-158 動機の意図ミセスジュリアと李ガンスとの表情の違いを優子は思い出している。 ミセスジュリアは優子と織江と会った瞬間、何でもない初対面の表情をした。 しかし優子が早苗のことを耳打ちすると驚きの表情を見せ、ゼスチャ …

隻手の音

1-156 隻手の音思いもかけぬことだった。早苗は妊娠していたことを優子は予想もしていなかった。早苗はクルーザーの中で何日も異国人に詰問されていたことだろう。罵倒され、侮辱されたことだろう。、、手錠をかけられ、、、孤独の …

深刻な現実

1-154 深刻な現実早苗は死の寸前に真実の「愛」を悟っていたに違いないと優子は想像していた。それは優子の親友の早苗への想いを重ねた甘い考えだったのではないだろうか。だがこのビデオ映像を見て推察していくと、早苗の身に迫っ …

錯綜する意図

1-153 錯綜する意図 私もお母さんと同じ意見です。早苗さんは男性が既婚者とわかっていたら、関係を持つことはなかったと思うのです。王紅東は過去にいろいろな女と浮名を流しています。しかし早苗さんは王紅東のことはよく知らな …

恋と不倫

1-150 恋と不倫 喫茶店ウファの店長、宇多田は何かせわしい気持ちがしていた。学生たちに囲まれて話をしている優子はときに笑顔を見せながら会話を楽しんでいるように見えた。しかし学生たちの人数が多いために宇多田は優子に声を …

緊張とリラックスの差

1-149 緊張とリラックスの差「真剣勝負の場合は基本的にルールがないのです。勝った方が生き残ります。動物でもそうでしょう。負けた方は大けがをするか、人生は終わりになるかもしれません。人間ではそれを防ぐためにルールを設け …

勝負のときの緊張

1-148 勝負のときの緊張どう説明をしたらいいのかむずかしいですね。スポーツでもなんでも試合というものは勝ち負けを競うものです。皆さんも日頃の練習をしているときは、相手を打ち負かそうと互いに打ち合うでしょう。ところが、 …

真剣と一生懸命

1-147 真剣と一生懸命「泉先生、、教えてください」「私?、、何を、、それに先生って言われたことがないし、 そんなふうに言われても、、、とにかく先生というのはやめて、、、」と優子は戸惑っている。ここは池袋にある喫茶店ウ …

輝かしい瞳

1-145 輝かしい瞳 うむいは母に連れられておうちに帰って来た。 母の使っているベッドに眠る支度をしてもらって眠ろうとしていた。最近、毎日のようにいつも母に連れられて行くおばあちゃんちにはだいぶ慣れてきた。おばあちゃん …

心のありよう

1-144 心のありよう優子は寝室で瞑想をしている。夫婦のベッドには娘のうむいを一人寝かせている。「出張だ」と言っては夫の純一はほとんど家に帰って来ず、まるで別居生活をしている感じがする。夫と結婚して数年の間、これはあや …

両刃鉾を交えて避くる用いず、好手還って火裡の蓮に同じ、 宛然自ずから 衝天の気あり

1-143 両刃鉾を交えて避くる用いず、 好手還って火裡の蓮に同じ、宛然自ずから 衝天の気あり「やゃ~~つ、いぇつっ、、!!」優子は木刀を正眼に構え相手に対して気合を発している。対する相手の男性も木刀を正眼に構え、じりじ …

生体反応を観る

1-142 生体反応を観る福田医師は二人の患者に施術をしたあとに再び、話を続けた。「すべての病気は意志とは無関係に内臓などの働きを調整している「自律神経」の乱れによって引き起こされているんですよ。この自律神経の交感神経と …

瀉法と補法

1-141 瀉法と補法優子の予想を超えるものでした。東洋医学ではさまざまなバランスを重視します。身体の調子が悪いときはわかりやすく言えば「実」であるという判断の時には邪気がたくさんある状態と考えます。逆に「虚」であるとい …

福田稔医師の針治療

1-140 福田稔医師の針治療東京に帰った優子はうむいを実家に預け、その日、福田稔医師の研修に参加していた。東京の豊島区のとある場所に人々が集まっていた。「だからね、いままでの治療じゃあ、病気が治るものも治らないことが多 …

日本人女性との恋愛

1-139 日本人女性との恋愛{あの~、なんかおかしいんですよ。もしかすると早苗さんの事件についてシンガポール警察が日本の警察側に連絡しているような感じがするんです。まるで歩調を合わせるように日本のマスコミは騒ぎだしてい …

1-138 替え玉

「勘違い?」{私、考えてみたんです。早苗さんは客船ピュアプリンセスの最初の寄港地のペナン島で降りています。しかしもしかするとペナン島の観光を終えたとしても客船には戻っては来なかったのではないかと思ったのです}「えぇっ、、 …

1-137 光り輝き

ふと、うむいはその白衣の王の頭の斜め後ろ側に白く輝くものが見えた。その輝く塊は何だろうと見つめていると、その光り輝きはしだいに拡大されてきたように観えた。しかも無数の黄金白色を織り交ぜたその輝きは、無数の粒子の光線のよう …

1-136 白衣の王

東京に向かう新幹線に乗っている。母の優子は疲れたのか、隣でスヤスヤと眠っている。近くでは数人の子供たちがはしゃいでいる声が聞こえている。うむいは母と同じように目をつぶってみた。しばらくすると暗闇の中に黄色や白い星たちが流 …

1-135 意念 

坂東は優子からのアドバイスを得て最新式の携帯電話に買い替えた。坂東はどちらかというと優子と同じく機械音痴だった。だから最新式の携帯電話にすれば、これで優子との連絡がよりスムーズにいくと単純に考えたのである。坂東の妻とは死 …

1-134 本物の医者

「先生、病を治す方法についてアドバイスをいただきたいのですが」「うむいちゃんは、病ではないと私は思う。だからそれほど時間はかからずに普通になってくると思うね」「それはありがとうございます。安心しました。で一般的な病につい …

1-133 不思議な子

うむいは優子の隣りでちょこんと座り所在なさそうにしている。しばらく沈黙が流れている。「この子は、、、どうも普通の子とは違うようだ」とうむいを見つめながら坂東医師は優子に切り出した。「えっ、、何とおっしゃったのですか?」「 …

1-132 医者と毒物

saveearthの打ち合わせの後はメンバーと久しぶりに居酒屋で痛飲した。その翌々日、優子は5才になる娘の「ゆむい」を連れて九州に住む坂東医師のもとを訪れていた。坂東医師と優子との縁はもうずいぶん昔のことだった。女学生時 …

1-131 いつまでも

宇多田の優子への熱い想いは酒とともに体内を駆け巡っていた。長い間の鬱屈した宇多田の感情を早苗の前にさらけ出していた。 大好きな気持ち ホントのこと 伝えきれずもうさよなら元気で暮らしてと いつもの場所 ふたり無理に笑いな …

1-130 10年越しの恋

「あのう、、、」と傍で座っている宇多田が心配そうに声を出した。「すみません、そのニュースって、どこから来たのですか?」「えぇ、、知り合いからですけど」「お知り合い?現地のお知り合いということですか?」「私たちもこれはどこ …

1-129 緊急メール

それはチエから優子へのメール連絡だった。「緊急連絡・シンガポール警察による張ジュリア、王紅東宅の家宅捜索をした結果が出ました。王紅東は薬物反応なし。自宅及び所有クルーザーにも薬物は発見されなかったそうです。ところが愛早苗 …

1-128 秘密のデータ

詩のノートパソコンの画面から表示してきたもの。それはsaveearth プロジェクト「病気を解明し活かす研究」と記されてあった。ノートパソコンを操作する詩の背後から優子、織江、龍が、その画面をじっと見つめてる。写しだされ …

1-127 記憶 memory

「それに、、宇多田さん、、、どうして私と早苗の名前をご存じなんですか?」「それは、、、愛さんとお話ししているうちに話の中に尾崎さんのお名前が出たので、、、、」「そうですか?、、、」「いえ、特別に尾崎さんのことを話していた …

1-126 縁

数限りない出会い。無数の人たちが悠久の歴史の中で出会っている。今現実に起きている出会いは奇跡と言える。推測も憶測も届かない現実。出会いばかりではなく私たちは奇跡の中で生活している。新たな奇跡は出会いから始まる。縁、eni …

1-125 浮気者と浮気相手をとっちめる

saveearthメンバーの優子、織江、詩、龍は池袋にあるリセリアホテルでの会議を終えた。外は午後の日差しが残っているが11月の風は冷たかった。学生時代によく通っていた喫茶店ウファが見えてくる。ここでちょっと立ち寄ったあ …

1-124 香港とシンガポールでの起業

シンガポールでは、、、、 豪華客船ピュアプリンセス号での張、ジュリア ( ミセスジュリア )の死亡事故の検視が行われた。それと客船での新型インフルエンザウイルスについても対応に追われていた。シンガポールの港に帰航した客船 …

1-123 サムライ魂とお金

「すみません、、、お話の途中ですみません。、、あのう、、、提案があるのですが、、、」 とチエは手を上げた。そして優子のそばまで行くと耳打ちをする。優子は一瞬、チエを見つめたが「わかりました」と言って、今度は優子がチエに耳 …

1-122 極小生命体の研究

「なるほどねぇ、、そういう面から考えると早苗のその方面の研究がどこまで進んでいたのかということなるわね。早苗が持っていた自宅用ととシンガポールに持って行ったノートパソコンが盗まれたというのだから。おそらくのその中には仕事 …