生命の謎

1-164 生命の謎
幕末、明治時代の任侠の世界にいた清水次郎長は、一死を許していた山岡鉄舟から尋ねられたことがある。
「次郎長、お前さんにはたくさん子分がいるけれどもあんたのために命を預けてくれる子分は何人ぐらいいるかい?」
「先生、残念ながら、あっしのために命をかけてくれる子分は一人もいないと思います。
ですが、あっしは子分のためにはいつでも命を預けることができます」と答えている。
大学時代に優子と早苗、織江、詩、龍の5人は、ある志をもって「saveearth」という会を結成した。
ところが、その親友の早苗が行方不明ののち、シンガポール近海から発見された。

若々しい肉体だった早苗が遺骨になって目の前にあることが信じられないでいた。
のちに早苗には、宿っていた生命があったことを知ったとき胸が痛んでたまらなかった。
早苗は幕末の志士を尊敬していた。
とくに吉田松陰のひたむきで真面目な勉学心と純粋性が大好きだった。
人想いで向上心が高く、正義一筋で生き抜いた人だった。
嘘が嫌いで正義のためになら命を懸けるとでもいう人だった。
だからその教えを乞う人たちもたくさん集まったのである。
その吉田松陰の松下村塾門下生たちから数多くの著名人が輩出した。

その中でも久坂玄瑞や高杉晋作は双璧かもしれないと早苗は言っていた。
この二人も若くして幕末に亡くなったが、日本の危急の際には大きな力を発揮した志士たちだった。
その幕末、明治の志士たちを尊敬する早苗が死を覚悟したときに自分のすべてを結集したはずだと優子は想った。

その心中を探っては想像し問う日々が続いている。

人がすべてをかけて結集したとき、、、。

もしものときには考えられないことが起きえるかもしれない。

そう思惟を進めていく、、、
ふとある瞬間に優子の息に震えが生じていた。
息が吸えず吐けない、、、、、。
息が立ち止まっていた。
もしかすると、、、、
もしかすると、、、、
その早苗の危急のときに、、、、。
もしかしたら、、、、、、、。
優子は瞼の奥に繰り広げられる情景に見入っていった。

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