1-136 白衣の王

東京に向かう新幹線に乗っている。母の優子は疲れたのか、隣でスヤスヤと眠っている。近くでは数人の子供たちがはしゃいでいる声が聞こえている。うむいは母と同じように目をつぶってみた。しばらくすると暗闇の中に黄色や白い星たちが流 …

1-135 意念 

坂東は優子からのアドバイスを得て最新式の携帯電話に買い替えた。坂東はどちらかというと優子と同じく機械音痴だった。だから最新式の携帯電話にすれば、これで優子との連絡がよりスムーズにいくと単純に考えたのである。坂東の妻とは死 …

1-134 本物の医者

「先生、病を治す方法についてアドバイスをいただきたいのですが」「うむいちゃんは、病ではないと私は思う。だからそれほど時間はかからずに普通になってくると思うね」「それはありがとうございます。安心しました。で一般的な病につい …

1-133 不思議な子

うむいは優子の隣りでちょこんと座り所在なさそうにしている。しばらく沈黙が流れている。「この子は、、、どうも普通の子とは違うようだ」とうむいを見つめながら坂東医師は優子に切り出した。「えっ、、何とおっしゃったのですか?」「 …

1-132 医者と毒物

saveearthの打ち合わせの後はメンバーと久しぶりに居酒屋で痛飲した。その翌々日、優子は5才になる娘の「ゆむい」を連れて九州に住む坂東医師のもとを訪れていた。坂東医師と優子との縁はもうずいぶん昔のことだった。女学生時 …

1-131 いつまでも

宇多田の優子への熱い想いは酒とともに体内を駆け巡っていた。長い間の鬱屈した宇多田の感情を早苗の前にさらけ出していた。 大好きな気持ち ホントのこと 伝えきれずもうさよなら元気で暮らしてと いつもの場所 ふたり無理に笑いな …

1-130 10年越しの恋

「あのう、、、」と傍で座っている宇多田が心配そうに声を出した。「すみません、そのニュースって、どこから来たのですか?」「えぇ、、知り合いからですけど」「お知り合い?現地のお知り合いということですか?」「私たちもこれはどこ …

1-129 緊急メール

それはチエから優子へのメール連絡だった。「緊急連絡・シンガポール警察による張ジュリア、王紅東宅の家宅捜索をした結果が出ました。王紅東は薬物反応なし。自宅及び所有クルーザーにも薬物は発見されなかったそうです。ところが愛早苗 …

1-128 秘密のデータ

詩のノートパソコンの画面から表示してきたもの。それはsaveearth プロジェクト「病気を解明し活かす研究」と記されてあった。ノートパソコンを操作する詩の背後から優子、織江、龍が、その画面をじっと見つめてる。写しだされ …

1-127 記憶 memory

「それに、、宇多田さん、、、どうして私と早苗の名前をご存じなんですか?」「それは、、、愛さんとお話ししているうちに話の中に尾崎さんのお名前が出たので、、、、」「そうですか?、、、」「いえ、特別に尾崎さんのことを話していた …

1-126 縁

数限りない出会い。無数の人たちが悠久の歴史の中で出会っている。今現実に起きている出会いは奇跡と言える。推測も憶測も届かない現実。出会いばかりではなく私たちは奇跡の中で生活している。新たな奇跡は出会いから始まる。縁、eni …

1-125 浮気者と浮気相手をとっちめる

saveearthメンバーの優子、織江、詩、龍は池袋にあるリセリアホテルでの会議を終えた。外は午後の日差しが残っているが11月の風は冷たかった。学生時代によく通っていた喫茶店ウファが見えてくる。ここでちょっと立ち寄ったあ …

1-124 香港とシンガポールでの起業

シンガポールでは、、、、 豪華客船ピュアプリンセス号での張、ジュリア ( ミセスジュリア )の死亡事故の検視が行われた。それと客船での新型インフルエンザウイルスについても対応に追われていた。シンガポールの港に帰航した客船 …

1-123 サムライ魂とお金

「すみません、、、お話の途中ですみません。、、あのう、、、提案があるのですが、、、」 とチエは手を上げた。そして優子のそばまで行くと耳打ちをする。優子は一瞬、チエを見つめたが「わかりました」と言って、今度は優子がチエに耳 …

1-122 極小生命体の研究

「なるほどねぇ、、そういう面から考えると早苗のその方面の研究がどこまで進んでいたのかということなるわね。早苗が持っていた自宅用ととシンガポールに持って行ったノートパソコンが盗まれたというのだから。おそらくのその中には仕事 …