1-138 替え玉

「勘違い?」
{私、考えてみたんです。
早苗さんは客船ピュアプリンセスの最初の寄港地のペナン島で降りています。
しかしもしかするとペナン島の観光を終えたとしても客船には戻っては来なかったのではないかと思ったのです}
「えぇっ、、、でも早苗は客船に戻ったという記録はありますよ。
客船の最初の寄港地のペナン島に行くときには、早苗はそれまで預けてあった自分のパスポートを客船から受け取って持っていきました。
観光を終えて客船に戻ったときには再び客船に預けたことになっていたはずです」
{それが勘違いというか盲点だったのではないかと、、、}
「どういうこと?、、、
まさか、早苗のなりすました人間がいたということ?」
{そう思います。
ペナン島から客船に戻ってきたのは早苗さんのなりすました人物だった。
いわば替え玉だったと思うのです。
その替え玉は何食わぬ顔をして早苗さんのパスポートを客船に預け、そのまま船旅を続けたのです。
帰港地のシンガポールでの替え玉は早苗さんになりすましたままチェックアウトをしたのです。
なんなく部屋の鍵を返し、早苗さんの荷物もパスポートも受け取って港を離れた。
早苗さんの客船にあった荷物の中に目的があったのではないかと思うのです。
替え玉を客船に侵入させる必要があったのではないかと思うのです}
「なるほど、すると客船にあった早苗の荷物を調べたが不足だった、ということ?」
{それはわかりませんが、その可能性があります。
そのとき早苗さんの大塚のマンションの鍵を手中にしているはずです。
その後、犯人側は大塚の早苗さんのマンションに侵入し、金銭以外の物を盗んだ可能性がある。
この行動をした人物はミセスジュリアと李ガンス以外だと想定されるのです。
先ほどの替え玉の女もそうですよね}
「となると、早苗の客船にあった荷物のだけでは不足を感じていた?
そのために大塚の早苗のマンションに入って探る必要性があったということね?」
{早苗さんのなりすましをしたり、その後、急いでシンガポールから旅費をかけて早苗さんの大塚マンションまで誰かを盗みに行かせたということになりますね。
ミセス、ジュリアと李ガンスの必要としたものが他にあったということになりますよね。
シンガポール警察側の発表だと愛早苗さんと王紅東とは不倫関係にあったとだけ発表しています。
それから想像するにしてもそのことが原因で妻のミセスジュリアと李ガンスとは結託して早苗さんをあのむごい殺し方をしたというのなら、異常性向のある二人だったのでしょうか?
もっとも殺人は異常なことですけど}
「夫が不倫をしたことが発覚していた。
しかし王紅東は女たらしだったということですよね。
つまりはミセスジュリアにとっては夫が複数の女性と不倫された経験をすでに持っていたことになります。
その経験をしていたミセスジュリアや李ガンスなりが、あのむごたらしい殺人をするものでしょうか?」
{そうですよね。
それと不倫とは別のことも少し気になります。
シンガポールのDragon社の王紅東社長の肝いりで、日本のオフィサーソフト社との共同プロジェクト進んでいてパンフレットも豪華に作られていました。
そのパンフレットに社長の王紅東と李ガンスの写真も掲載されていたのです。
そのように早苗が関係しているプロジェクトがDragon社にとって有望視されていたように思います。
早苗の大塚の部屋からはパソコンは盗まれてはいるらしいけれど、金銭は盗まれていないのですから、そこらへんにも匂う部分がありますよね}
「ん~、~、、、、」
{それでね、優子さん、、、}

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