福田稔医師の針治療

1-140 福田稔医師の針治療
東京に帰った優子はうむいを実家に預け、その日、福田稔医師の研修に参加していた。
東京の豊島区のとある場所に人々が集まっていた。
「だからね、いままでの治療じゃあ、病気が治るものも治らないことが多くなっているって気づいたんですよ。
私はよく癌の手術もしていましたけれどね、おかしいことに気づいたんです。
手術したときにほぼ完璧に癌を取り除いたと思っていた患者がしばらくすると亡くなっている。
しかし取り残した部分があると思っていた患者がずっと生きている。
こんなことってあります?
でもそうなんてすよ、実際。
おかしいと思っていたんですよ。
だから我々が学校や病院で教わったり学んできたものが本当にいいものかどうかそりゃあ、疑問に思いますよね。

このままではだめだと、、、」
目の前で白衣姿の福田稔医師が熱弁をふるっている。
何かよもやま話でもするかのように淡々としゃべっている。
「それでね、患者は気というのがね、流れなくなっているんですよ。
いろいな要素があるが、多くの患者は気が滞っているから病気になるんです。
それを流してやれば病気が治ってくるんですよ、自然と。
私もいろいろやってみましたよ。
いろいろとやっていくうちに私は患者から教わりました。
教わっていくうちにだんだんと気の流れ道が見えてくるようになったんです。
そうするといままで治らなかった人もだんだん治るようになっていったんですよ。
それじゃあ、実際やってみましょうか、誰かやってもらいたい人はいますか?」
と集まっている人から、治療を望む人に声をかける。
すると手を上げた人たちがいる。
「それじゃあ、ここにきて、前に来て」
「病気は何?、、癌、、それで、、どんな、、、、わかった。、、、。
それじゃあ、ここにきて。
うん、ここに立って、そう、ここでいいよ。
これから、この針で治療をするからね、いいね?」
「はい」
薄着になった患者のそばで福田医師は右片手に注射針のようなものを持った。
患者の身体を触りながら見つめていた福田医師は、突然動き出す。
注射針を患者の頭のてっぺん付近から刺しては抜き始めたのである。
頭のてっぺん付近から次々と連続するように下方へと刺しては抜いていく。
上半身、下半身へと体全体に連続的にその注射針を刺しては抜いていく。
まるで電光石火の動きのように見えた。
まわりのスタッフ数人が脱脂綿を持ちながら、福田医師の注射針を刺しては抜いていったあとに滲んできた血を拭いていく。
あまりに福田医師の手際の速さにスタッフは追いついていくのがやっとのように見えた。
優子はこのような速さの治療は始めて見たのだった。
{これは、、、、、しかし、、、、}見入っていた。
優子は東洋医学を学んでいた。
優子は凝り性のたちで、東洋医学を書で学ぶだけでは物足りなくて実際にいくつかの国にも行ってみたし、現地の医者の治療も受けている。
東洋医学では「補」と「瀉」の概念がある。
福田医師のは、すばやい治療なのだった。
{これは、、、「瀉」だわ、、、
、、しかし、、、癌患者にこういう治療をするとは、、、}

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