1-25浮気調査結果

和田のイヤホンから聞こえるのは女の声だった。
「、、ふふふっ、、ねぇ、私もいい年になってきたのょ、、どうなっているの、うちのマミーも心配しているし、、」その女の声が聞こえてきた。
探偵社「二つの幸せ研究所」のスタッフが泉優子の夫の純一の浮気調査をしたとき録音されたものだ。
純一を尾行していくと途中、ある女性と合流した。そしてその女性とともに伊豆高原のペンションに泊まったのである。そのペンションの外に特設されていた露天風呂に二人が入ったとき録音されたものだった。
純一とその女性がペンションに出入りし宿泊したことにより、浮気を証明するための状況証拠画像はすでに撮れていた。それに加えて二人が露天風呂へ入ったものも撮れているので証拠としてはすでに十二分だった。
最近のこの探偵社のスタッフは忙しくなり、所長の和田は急遽、早苗に関するシンガポールの調査も入ったので、いくつかの調査業務を短縮するためにこの録音したものは編集もせずにCDにダビングし、調査結果の参考資料として依頼者の泉優子に渡したものだった。それをこのシンガポールへの機内での空き時間を利用して整理したのである。

{あぁ、これが、そうだったか、、、}と和田はビデオカメラをチェックしながら、録音されていたものを耳に流していた。その録音したもの、これが純一とその女性の露天風呂での話し声が、和田のイヤホンを通じて聞こえてくるのだった。
「わかっているよ、、、、、、そりゃあ、少しずつやってるよ、、、、もう少し時間をかけなきゃな、、だいぶ会話が少なくなってきたし、、険悪というところまではいっていないが、まあ、それに近くなるときもある、、、はっきりした傷をつけちゃあ、俺のほうがまずくなるから、ほどほどにやっているんだけどね、、、、」
「悪ねぇ、、、、」
「何を言っているんだ、、でもだいぶ進めているいるつもりだが、、優子の奴、結構、忍耐強いんだ、、むずかしいところだよ、うまくやらないといけないしな、、」
「どのくらいかかりそうなの?」
「あいつが真剣に離婚を考え出すまではもう少しかかるかもしれん、自然にやらなけりゃあ、ならんしな、そこが難しいところなんだ」
「よくそんなこと考えられるわね、、、、まさか私にもそんな悪いことをしないでしょうね?」
「馬鹿を言え、お前と俺のためじゃあないか、それよりお前のほう、金の工面は大丈夫か?」
「何とかするわ、、、、、、」
「、、親御さんはどうなんだ?」
「もちろん、かわいい娘のためだもん、理由はなんとでもなるわ」
バシャーッ、バシャーツ、、、風呂おけで湯をかけている様子の音が聞こえている。
ペンションの外に特設された貸切の露天風呂なので、彼らが使っている時間帯は誰も近づかない。外から見れば使用中という札と内鍵がかかっている。だからほかの人は誰も入れないことになっているので、彼らは安心して楽しんでいるのだろう。
「、、、いゃあぁん、、、スケベ、、、、あとで、、、」
依頼者の泉優子は、夫が浮気をしていることはうすうす感じていたので、この探偵社に浮気調査を依頼したのだ。しかし、、、{まさか夫が平日に浮気をしていたとは思いもしなかっただろうし、この動画に映る二人のペンションまでが記録されており、しぐさや動きを見ればショックを受けることだろう。しかしそれよりももっと優子にとって衝撃的なのは、この露天風呂での二人の会話内容だったはずだと和田は思った。その由々しき内容を何度も聞きなおした。
和田は{調査結果資料とこの録音したものを参考資料として優子に渡したのだから、彼女はすでにこの録音された会話内容は聞いたはずだ。そしてその後に優子は和田に電話連絡をしている。しかしそのとき、、和田にこの会話についての言及はなかった。もちろん相談もなかった。いや、まてよ、そういえば、この調査報告書を渡した数日後 }と和田は優子とのことを思い出そうとした。

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