1-117 敵、現る

「しかし不思議よねえ、、、人がベランダまで出て、そこから落ちるなんて、、、
しかも夜明け前のことなんでしょう?、、、」
「考えられないわ、、ミセス、ジュリアは新型インフルエンザに罹っていたんでしょう、、、
むしろ具合が悪くって寝込んでいて起きられないくらいじゃないかしら?」
「そういえば優子さんと織江さんは早苗さんがお泊りだったと同じスィートルームでしたよね?

どんなお部屋でしたか?」
「私たちのスィートルームは機能的にできていてリビングがあり、その続きに寝室があってそこにはジャグジ風のお風呂もあるほどでコンパクトで豪華な感じがしました。
部屋では食べ物以外は不自由しませんから、長い時間ゆったりと過ごせます。
ベランダへ行くにはベランダへのドアを開けるようになっています。
ドアには車の運転ハンドルのようなものが付いていて、それを右まわりにくるくると回していくと扉が開くようになっています。
面倒ですが結構、回さないとドアは開けられないのです。
遊び心で作ったのでしょうか。
だからその扉をあけるのはちょっとした力と手間がかかるのです。
ですのでミセス、ジュリアが外に出たいという気持ちが動かないとドアをあける気がしませんね。
ベランダは余裕あるスペースでしたし、下に落ちないようにガードの設備もされていました。
ですから身を乗り出したり飛び出すようにでもしないと下に落ちるはずがないでしょうね。
私たち女ですから、念のためにベランダ側に立って階下や隣を覗いてみましたけれど、よそからベランダ側へと侵入することはほぼ不可能と感じました。
ミセスジュリアの部屋は私たちの部屋からはそれほど離れていないようでした。
シンガポールへ帰航する深夜から朝方の間で彼女、ベランダから落ちたというのですが、私たちには物音は聞こえませんでしたね。
まぁ多少の波や風の音もしますし、その時間帯に私たちは眠っていましたものね。
部屋はホテルと同じようにドアが閉まれば自動的にロックされるようになっています。
だからもしミセス、ジュリアの部屋の中に誰かがいたとしてもその人が部屋を出ていけば自動的に密室になりますよね」
「そうなんです。それを陳は密室と言っているのです。
いつまでも密室、密室と言っていないで早く、事件を解決してほしいものです。
まあ、それはそれとして、、、私、考えてみたのです、、。
肝心なところを。、、、、、」
「、、?、、、」
「、、、、、これから?、、、」
「ミセス、ジュリアは亡くなりました。
皆さん、、、新型インフルエンザとかウイルスとかの話が客船で持ち上がったこと、
それにミセス、ジュリアの死と密室ということに囚われていませんか?、、、」
「、、、いや、、、そんな、、、、」
「、、、ん〜、、」
「でもね、人はそういう風に感じやすいものです。
実は陳にもそれを感じました。
、、、まぁ職業柄、、そういうことに目を奪われやすいのです。
女だから言うのではありませんが、私はそのミセス、ジュリアの心情に入っていかなければこの事件は解決していかないんじゃないかと」
「ほう、、、」
「それで私、彼女のことを調べることにしました。
ここですよ。、、、、皆さん!、、、、。
彼女、香港の資産家の一人娘に生まれ、何不自由なく育ったそうです。
さて彼女、香港では親の後押しもあり、商売の面白さに目覚めました。
その頃に現れた男。それがのちに夫になる王紅東だったのです。
二人は香港で結婚後、飲食業を営み、次々と店を広げて成功していったそうです。
どちらの手腕によるものかはわかりませんが、飲食業だけでなくいろいろな仕事をするようになったそうです。
そして、、、、シンガポールまで進出していった。
、、、、このことは現地のマスコミでも取りざたされるほどだったのです」
そして皆さん、、ここに最大の敵が現れたのです、、、」バシッ!!バツん!!「痛っ!!」
「痛っ、、手が、、うっ、、、あっ、、、、ちょっと、、、
ちょっと待ってください、、、、

ゴソゴソ(何かを探している音)
、、、シュッ、シュッ、シュツ(テーブルをティッシュで吹く音)、、、」
「今度はティッシュでテーブルを拭き始めたわよ、、、」
「あれっって、、、彼女の唾が口から飛び出したのを拭いてるみたいね、、、、手、痛そうね」
「、、、何?、、最大の敵、、、?」

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