1-116 誘導操作

「張、ジュリアが新型インフルエンザの陽性と判明した翌日の朝方、シンガポールの港に向かっている船のベランダから落ちて死んだ。て、、ねぇ、しかも密室って、、」
「、、密室、、そう言われれば、、、ねぇ、、?」
「チンはそう言ってました」
「チン?、、、」
「誰、、、?」
「チン、、チン、、珍?、、朕、、誰っ?、、チンって」
「失礼しました。変な言い方で。
シンガポール警察の陳という名前の警部です。
当社「二人の幸せ研究所」は早苗さんのご両親のご依頼で動いております。
李ガンスに関して私たちが調べた情報に早苗さんの事件の担当者、陳警部がどのくらい興味を示すだろうかと思って連絡してみたのです。
ところがですよ。
話をしているうちに、この陳は李のことをあまり調べていないような感じがしたのです。
これって、、ねぇ、皆さん!、、、

もしそうだとしたら、、、おかしいでしょ!?、、、 李は重要な関係者なんですから。
、、、ちゃんと調べてもらわないといけない。
私たち当事者としては真剣なんですから」
「、、当事者?、、、まぁ、、ね」
「ん、、、、、?、、私たち?」
「私、陳に言ったんです。

確かに張、ジュリアの死亡した原因を調べることは重要だし、当然そうしなければならないとは思います。
そうだとしてもまず李ガンスが最重要の人物のはずだと言ってやったんです」
「その通り、、」
バチ、バチ、バチ、バチ
「ありがとうございます。、、、、
で、ところが陳は警部のくせに少し気弱かもしれません」
「ほ~、、、」

「何❓」
「陳はこう言ったんです、、、、。
実は張、ジュリアの親御さんが香港から押し寄せて来て、すごい剣幕で、、、」と。
「まぁ、こうゆうふうに言うんですよ。
その親御さんが押し寄せてきたって。そんなこと私に言われたって、、、ねぇ。
それがどうしたって言うんですかねぇ、警察なんですから。

私、そう思うんですよ。
一人娘が死んだというんですから親としては驚き嘆きだとしても、陳は仮にも警部でしょ!!」
「そう、そう、、、」
「ミセスジュリアは一人娘だとうわさでは聞いたわね、、」
「そうなんです。

ところがここからがまた肝なんです。

皆さん、よく聞いてくださいよ、、、、、」
「、、はい、聞いてます!、、」
「ありがとうございます。
それが張、ジュリアのご両親は香港で資産家らしいのです。
その一人娘のジュリアが、結婚をして子供を産まないうちに今回のシンガポールの船旅で死んでしまった。
となると、、、どうなります?」
「、、、、、」
「わからないわ、、」

「それはそれは、悲しむでしょうね」
「娘の死に方を疑うでしょうね」
「ですよね!!、、その疑いが、、、、ミセスジュリアの夫に向けられているのです」
「なるほど、、でも夫だけでなく李ガンスも疑われるはずよね」
「そこがまた違うんですよ、、、、」バシッ!!
「何?、、、、」
「どういうこと?、、、、」
「えっ、、、違う?」
「なんで?、、、、」
「ご存じのように李は新型インフルエンザで陰性だったし、薬物はまだ見つかっていないのです」
「、、、、、、」
「いいてすか、、皆さん!、、ここなんです!!」バシッ、バシッ!!
「はぁ、、、、、」
「実は、、、、そのころから陳の話の感じが変わっていったのです。
「、、、、というと、、、」
「結論をいいますと、、、、陳の話から私が感じたことは、、、、
張、ジュリアのご両親と李ガンスは何か関係しているのじゃないか?と。
もちろん裏をとっているわけではありませんよ」
「ほう、、、」優子、織江、詩、龍は互いに見つめあう。
「まぁ、、、陳、陳って、、、気安く言ってるわねぇ、、、」
「、、、感じた、、?、、、ってか?、、」
「皆さん、、このように私はマグロのように陳を問い詰めていったのです」
「マグロ?」
「って、、鮪のこと、、?」
「そうです。

鮪って海を24時間、眠らずに泳ぎ続けているでしょ。
あれです。立ち止まったら死んでしまうのです」
「はぁ、、」
「私も同じようなものです。鮪と、、、。
つまり私は陳を流れるように誘導しながら話を続け、それとなく情報を与えるようにしながら探っていったわけです」
「ふぁあ、、、」
「う、、、、~、、、、む」

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