1-102 前夜

「はい、、」
「若木です」
「そうそう若木さんを呼んでいたのよ」優子は、立ってドアを開けた。
「失礼します。私にご用事あると、、、?」若木はお辞儀をした。マスクをしている。
「どうぞこちらへ、、、。お忙しいところすみません、、、少しの時間ですみますので、、、」
「はい、、、?」
「二人でさっきまで話をしていたんですけど、ちょっとお聞きしたいことがあります。この船の去年の航行プランのことなんです。去年の10月18日にシンガポールを出発するプランはあったでしょうか?」
「はい、ありました。ただし昨年の10月18日は土曜日ですが、、、」
「ということは10月18日のシンガポール発でペナン島とプーケット島を寄港地として22日にシンガポールに到着するものだったのでしょうか?」
「そのとおりです。日にちは同じです」
「ということはシンガポールに到着する前日の21日の夜には、パティオでのパーティは行われたのでしょうか?」
「そうです。旅の終わり前夜には何がしかのパーティはパティオで開かれます」
「ミセスジュリアの誕生日会もですか?」
「いえ、ミセス、ジュリアの誕生日会は毎年あるとはかぎりません。 たしか去年は開かれなかったのじゃないかと思います」
「なるほど、、で、昨年、愛早苗はパティオのパーティに出席はしていたのでしょうか?」
「それはわからないのです」
「と、言うと?」
「昨年のパーティでは私はお見受けしていないと思います。ただ、パーティでは多数の人々が参加されます。ですのでサービスするスタッフは参加されているお客様全員のお世話をすることになります。特定の方にサービスしたりすることは稀です」
「では愛早苗はご覧になっていないということですか、、、?」
「いえ、どちらかという記憶にないということになります。ただお一人の女性ですと多少は目立つことがあります。特に日本人女性ですと多少、ファッションも違うこともあります。それに愛さんはエグゼグディブでしたので、私としても多少の意識はあります。ですが、その当時の記憶に愛さんのお姿がないのです。だから、パーティにいらっしゃらなかったのではないかと思っています」
「私が思ったのは早苗は最初の寄港地てあるマレーシアのペナン島ではこの船から降りて観光をしています。お客は下船するときに預けておいたパスポートを受け取り、この船の出入国カードを受け取って から下船したり、再び乗船できるとお聞きしました。そうですよね?」
「その通りです」
「愛早苗はペナン島では下船し、観光した後、再び乗船している。その翌日のタイのプーケット島のときには下船していないということです。それに最終のシンガポールでは下船しているということでしたよね?」
「そのとおりです」
「しかしペナン島で、もし愛早苗が観光地で誰かと入れ替わって乗船することは可能なのではないでしょうか?」
「いえ乗船するときには、再び、じかに愛早苗さんご自身からパスポートを預かることになります。それとカードのほうも回収することになります。ですのでそういうことはないかと、、、、」
「でも可能性はありますよね?顔は認識されているのですか?」
「スタッフは観光を終えて乗船するお客からパスポートとカードを返還されるときにご本人だと思っています。
寄港地ではたくさんのお客様が下船したり乗船したりします。お買い物もお荷物もありますから多少は混雑する中で仕事をしています。それに私たちはそのように誰かが入れ替わっりすることは想定していないのです。なぜかといいますと最終的にシンガポールでご本人しか使わないパスポートをお返しすることになるのですから、、、、」
「そうですよね。本人が使うパスポートですから、最終地のシンガポールで船を降りるときに受け取りますよね。でももしその受け取ろうとする人が、目的があって入れ替わっていたとしたら?、、、、どうなります、、受け取れるものなのでしょうか?」
「そうですね、お客様が下船する清算をしてお荷物やパスポートを受け取ることになります。愛早苗さんの場合も何も問題がなく、手続きが済んだことになっています。ただおっしゃる意味は分かるような気がします。ただ他人が愛さんに入れ替わって、愛さんのお荷物やパスポートの受け取りや清算をしたという証拠がないのです」
「なるほどわかりました」
「ところで、さっき、パティオでパーティの終了後にお客が騒いでいましたが、、、たしか新型インフルエンザではないかと、、、どういう状況なのでしょうか?」
「いえ、私どもには正式に情報は流れていないのです」
「というと?」
「はい、運び込まれて女の子とそのお母さんのことは、私どもにはよくわからないのです。でも、、、、ここでの話にしていただきたいのですが、、、、実はスタッフの中でも変なうわさが広まっているです。おっしゃるように新型インフルエンザのことです。私も新型のインフルエンザが流行しているのは知っています。ただほんとにうわさだけなのですが、それが今回は少し、たちの悪いウイルスかもしれないとか言う者もいるのです。、、、それでスタッフは仕事をしている間は念のために消毒スプレーやマスクを使おうということになったのです。でもお客様があまり神経質になられるのも余計なことになりますので、アナウンスはしていないのです。どちらにしても明日朝にはシンガポールに到着しますので、ご安心できるように手配はしております」
「そうですよね。あの女の子もお母さんも心配ですよね。こちらには薬とか、マスクとか消毒液は余分にあるのですか?」
「ごめんなさい、実はお客様善全員にお渡しするようなものがないのです、てすのでマスクもここにお持ちできませんでした。ですが、明日、到着するまでは、このお部屋でできるだけおお過ごしください。明日のご朝食はバイキング方式はできないかもしれませんので、その対応に大わらわになろっております。どちらにしても早朝にはアナウンスがありますので、それれをお待ちいただくとしか私には言えません」
「それはそれは若木さんも大変ですよね。おかげさまでとてもご親切していただいておりますので助かっています。今回のことも丁寧に教えていただきありがとうございました。私たちも気を付けておとなしくしております」

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皆様良いお年を、、、さらに物語をご期待ください。
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