1-84 原因究明

「集まってもらったテーマは、今後の大事な方針についてです。
その方針についての中には当然、早苗の事件も含まれます。
私たちが現在、知り得る早苗に関するものでは情報が少ないと思います。
いままでの情報は①嵐の台北でのコンサート会場に向かうときの動画を撮った男性の画像解析情報、②早苗の部屋から紛失しと思われるノートパソコン。③シンガポール海域から引き揚げられた早苗の遺体からの情報ぐらいしかないと思います。私的には、シンガポール警察が「しばらく内密に調査を続行したい」という意味がとおりいっぺんの言葉なのかどうか、なぜ「内密」と言う言葉を使ったのか、意味があるとすれば今後の推移をみていなければなりません。
これらの情報から何が浮かび上がるのかのみんなの意見をお聞きしたしたいと思います」
「優子は冷静沈着。私は、はっきり言って怒り心頭です。仇討ちをしたい。ただこれだけ」
「私もそうです。会の資金をこれから今まで以上に増やします。そのかわりにそのすべてを使っていいとさえ思います。足りなければ私のお金も出します」
「龍は?」
「私ももちろんみんなと同意見です。必ず犯人を突き止めたい。気になっているのはなぜ、あのような殺され方をされなければならなかったのかということよ。まず真相究明が大事よ。そのうえでかたき討ちをするべきだと思う」
「そうですね。行き当たりばったりに殺人を起こす人もまれにいますけれど、早苗の場合は違うと思います。あのように幾重にも体中をロープで縛られ、後ろ手が固定された手錠にかまされ、足枷をされた上で生きたまま袋に入れられ、海中に沈められるなんて人間のかけらもないような行為を誰がなしえるでしょうか?これには憎しみが充満していると感じるのです。ここには人間性が感じられない。あんなことができるのは精神の異常性がなければできないと思うのよ。一面では冷静さを持ちながらも精神異常をきたしている人間の行為ではないかとも思えます。それに一人の行為ではなく複数の人間の行為だと感じるのです。とすればある程度冷静さを持った人間と精神異常さをもった人間の共謀行為ではないかと」
「陸上で袋詰めまで行い車に乗せ、どこかの小さな港で小舟に乗せ換えて海中のどこかに沈めた。あるいは船の留まっていた港まで早苗を連れ出し油断させて舟に乗せたあと、その船の中で袋詰めにし海中に沈めたと考えるのが自然じゃないかと思うわ。であれば確かに一人の行為ではむずかしいはず」
「行為そのものに憎しみがあるとすれば早苗に関する人間関係になる。通り魔は除外してもよさそうね」
「早苗は憎まれる性格ではない。かわいいし律儀だし優しいし」
「そんな早苗に憎しみのある敵対する人間がシンガポールにいるとは考えられない。だってそんなにシンガポールとは行き来していないはず。たしか早苗は仕事の約束前までに観光船かなんかに乗って観光をしたとか言ってたくらいだから、それほどの人間関係があるとは思えない」
「早苗が2008年の10月18日、シンガポールのマンダリンホテルをチェックアウトしたあとに豪華客船ピュアプリンセス号の3泊4日のクルーズで観光したでしょ。シンガポールの港を出発して各地を観光したあとに再びシンガポールに戻ってくるというクルーズ。あれってなんか普通に観光を楽しんでいるって感じがする。あのとき早苗は本当に一人だったのかしら?それともその船で誰かと会っていたとか?なんか気になるわね」
「早苗はいつ殺されたというの。わかっているの?」
「警察の話だとはっきりと特定できないというのが結論なのよ。シンガポールは年中高温多湿だし、海水温度もも28°~30°以上になるけれど海域や流れによって多少の違いが出てくるという話だった。だから人体の骸骨化は比較的早い」
「それに、、、警察の話だと、なにかしら素人っぽい犯行ではないかとも言っていた」
「どいういうこと、、、?」

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