1-12 超アイドル


「4枚じゃなくて1人の会員に対して1枚だけ購入可能にして、売買を禁止するのならわかりやすいけれど」
「そうしてソウル形式で入場を厳しくするということ?」
「それだとソウル会場でのすべての入場者をチェックするのは難しいでしょうね。どう思う?計算してみたの?」
「計算?」
「ソウルはどのくらいの収容数なの?」
「7000弱くらいかしら」
「だとすれば?」
「本当にソウルではきちんと入場のときにチェックしているかどうかということ?」
「そう。全部の入場者を時間内に入場させるわけでしょ。もしソウルの会場の入場者チェックが厳しいというならば、たとえば1人に1分くらいの時間がかかるとして、1万人の入場者だとすれば1万分になるわけよね。そうすると、、、」と優子が早苗を覗き込むと。早苗は、すぐに携帯電話を取り出し電卓をたたき始めた。
「たしか7000席ぐらいだったと思うけど、1人の入場者が仮に1分かかるとすれば7000
分かかることになるから、60分で割ると116時間くらいの計算になるわ。会場の入り
口が仮りに3ヵ所でそれぞれ10人のスタッフがチェックするとなると116時
間÷30=3.8時間くらいかかることになるわね。もしチェックの時間が30秒だ
とするとその半分だから2時間弱にはなるわね」
「もし会場から開演までが2時間だとしたら、1人の入場者に30秒以内くらいで、済ませる必要がでてくるわね」
「う~~ん。それにもしかすると、携帯電話やビデオカメラやデジタルカメラなんかをチェックされたりするらしいから、意外ともっと手間がかかるかもしれないわ」
「するとそのチェックする時間をもっと短くするか、それとも入場開始時間を早めるしかないことになるわね」
「なるほど、、、」
「でもそれだけではないでしょ?」
「えっ?」
「会場はスタンド席だけではないんでしょう?」
「あっ、そうか、、、そうアリーナがありますよねぇ、、、」
「ですよね」
「そうなるとアリーナ席の分も含めると7000席以上というか1万席くらいにはなるかも、、となると入り口のスタッフ数を増やすか手早くしなければにならなくなるわ」
「入場のときにチケットと購入証明書、場合によれば個人の証明書を確認する。しかも携帯電話やビデオカメラやデジカメのチェックもするとなるとそうとう時間がかかることになるわよねぇ、、、」
「でしょ。そして入場者のチェックに手間取っているうちに開演の時間が迫ってきた場合、どうなります?」
「そうしたら、、、スタッフの手際が悪ければ、嵐のファンが怒り出すかも」
「そう、その嵐ファンの勢いに恐れをなして、スタッフは青ざめる、、、」
「だとしたら以外とスムーズに入場できるかも。あれあれ、、またまた優子リーダーにうまく誘導されてしまったわ、あ、思い出したわ、知ってますよ。優子が昔、お若りしころ、ある超アイドルに近づいて、話を直接できるまでになったんでしょ」
「あぁ、あのときは若かったしね」と優子はまんざらでもない顔をした。
「でも普通、そんなことはできないくらいガードが厳しいはずなのによくそんなことができたわね?」
「あのころは一所懸命だったのよ。若気のいたりというのかしら」
「でもそんなこと簡単にいかないよね?」
「あのころは、ほんとに嵐のファンクラブも恐れるくらいの超アイドルの人だったから、容易には近づけなかったわね」
「でもその気になって近づいて、お話することもできた?」
「なんとかね」
「ふ~~ん。でも思うこととやれることとは違いますからね。もし嵐ファンはたくさんいるけど、それでもできそう?」
「その気になればね」
「やる気だけでいいの?」
「あはは、、もちろんやる気だけじゃだめよね。まぁ、考えればなんとか道は開けると思うわよ」
「本当!やっぱり、リーダーはすごい」
「いいえ、あのころは怖いものなしでできたけど今はその気もないし、年だから相手にされないと思うわ」
「そんなことな~~~い!でもどういう、、、、?」


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